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機構設計者なら知っておきたい! 電子部品の発熱量計算と熱設計の基礎


第25回 [PICLS] サーマルビアによる放熱 (1)

 

 今回は基板専用熱解析ツール PICLS を使って部品温度とサーマルビアの関係を見ていきます。

放熱パターンを用いた冷却の問題点

 第17 ~ 18回で部品温度を下げるためには、放熱パターンを使って熱を逃がすことが効果的であることをご紹介しました。一方で、放熱パターンによって放熱能力を高めようとするとパターンの面積を大きくする必要があるため、電子部品どうしの距離を大きくせざるを得なくなり、高密度な実装ができないという問題が生じます。そこで今回は別の方法によって部品温度を下げることを考えてみたいと思います。

サーマルビア

 基板の放熱性能を高めるための方法の一つにサーマルビアがあります。熱の伝わりが悪い絶縁層に対して、熱の伝わりが良いサーマルビアを打つことによって、基板の層間を熱的に接続し、部品で発生した熱を基板に逃がしやすくする方法です。

 それでは、部品直下にサーマルビアを配置した場合の計算を行ってみましょう。PICLSを起動して、① [寸法と構成] から基板を作成します(大きさや層数は適当な値で構いません)。続いて、② [部品] をクリックします。ダイアログの [外形寸法] [X], [Y][10][mm] と入力し、発熱量に [0.5][W] と入力します。

 次にサーマルビアを作成します。画面右上の作業レイヤーから ③  L1  をクリックし、続けて ④ [ビア] をクリックします。ダイアログで [X], [Y] [10][mm] と入力し、[ビア本数] [X方向], [Y方向] [3][本] と入力します。そして、作成されたビアをマウスのドラッグ&ドロップで部品の真下に移動させます。この状態で ⑤ [結果] をクリックすると図25.1 (a)のように部品温度が表示され、ビアがない場合の図25.1 (b)と比較して、部品温度が下がっていることが分かります。

サーマルビアがある場合
(a) サーマルビアがある場合(クリックで拡大)

サーマルビアがない場合
(b) サーマルビアがない場合(クリックで拡大)
図25.1 サーマルビアの有無による部品温度の違い

サーマルビアと放熱パターン

 両者を比較すると温度は低下しているものの、下がり方はそれほど大きくないことが分かります。そこで、放熱効果を高めるために、基板のB面に矩形の放熱パターンを追加したいと思います。

 右上の作業レイヤーから、最も下の層(図25.1の例では ①  L4 )をクリックします。次に ② [配線] をクリックし、部品の直下に矩形の放熱パターンを配置します(大きさは適当で構いません)。そして、③ [結果] をクリックして温度分布を確認してみましょう。図25.2には、部品の直下に一辺の長さが50 mmの放熱パターンを追加したときの温度分布を示しています。

基板の裏面に放熱パターンを追加した場合の温度分
図25.2 基板の裏面に放熱パターンを追加した場合の温度分布(クリックで拡大)

 図25.1 (a)と比較すると温度の下がり方が大きくなっており、サーマルビアによる冷却効果がより大きくなっていることが確認できます。

 部品で発生した熱は基板を介して最終的には空気、もしくは基板を支持している部分へ逃げていきます。サーマルビアは熱の伝わりが良くない絶縁層において、局所的に熱の伝わりを良くする効果があるものの、最終的な熱の逃げ場が確保されていなければ、絶縁層から先の熱の伝わりにくさが邪魔をして、放熱性能の向上にはそれほど寄与しないことがあります。そのため、サーマルビアの先の放熱経路を確保することも重要といえます。

 次回も引き続きサーマルビアの影響をPICLSで計算していきます。

 

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著者プロフィール
CrEAM(Cradle Engineers for Accelerating Manufacturing)

電子機器の熱問題をなくすために結成された3ピースユニット。
熱流体解析コンサルタントエンジニアとしての業務経験を生かし、
「熱設計・熱解析をもっと身近なものに。」を目標に活動中。

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