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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第6章 熱流体解析の手法


6.4 時間の取り扱い

6.4.1 定常解析と非定常解析

 3.4.1節 定常状態 非定常状態 について触れましたが、それぞれの状態を求めるための解析として、定常解析 非定常解析 があります。

 定常解析は定常状態、すなわち時間が経ってもこれ以上変化しない最終的な状態のみを求める計算です。計算に時間の概念はなく、定常状態に達するまでの途中経過に物理的な意味はありません。あくまでも、定常状態に達して初めて物理的な意味を持つ計算となります。また、得られるのは結果のみで、定常状態に達するまでに掛かる時間を知ることはできません。

 これに対して、非定常解析では解析全体を短い時間に区切り、少しずつ時間を進めながら次の時間の現象を求めるという作業を繰り返していきます。現象の途中経過も解いていくため、計算途中の結果にも物理的な意味があり、最終状態に至るまでの変化の様子を知ることができます。

 図6.34には、暑い室内に冷房をつけ、1時間後に定常状態になる様子を計算した場合に、定常解析と非定常解析で得られる情報の違いを示しています。一見すると、非定常解析のほうが得られる情報が多く便利であるように見えますが、それと引き換えに非定常解析では非常に長い計算時間が必要となります。そのため、定常状態のみに関心がある場合には、計算時間の問題から定常解析が行われることが多くなります。


図6.34 定常解析と非定常解析で得られる情報の違い

 一方で、問題によっては定常解析が意味を成さない場合もあります。例えば、図6.35に示すように暑い部屋の中に放置された冷たい飲み物が、温まっていく様子を計算する場合です。

 定常解析では十分時間が経った後の状態しか見られませんが、最終的に飲み物が室温と等しい温度になることは明らかなので、このような場合、定常解析は全く意味を成さないことに注意が必要です。


図6.35 定常状態が自明な場合

< 6.3.4 境界条件 6.4.2 時間の分割 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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