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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第6章 熱流体解析の手法


6.2 離散化

6.2.1 離散化とは

 前回、コンピューターでは 基礎方程式 をそのまま計算できないことを説明しました。したがって、熱流体解析を行うためには、まず基礎方程式をコンピューターで計算できるように翻訳しなければいけません。これを 離散化 といい、具体的には微分方程式で表された基礎方程式を離散値の四則演算で表された 代数方程式 に書き換えていくことになります。

 まず、大ざっぱなイメージを掴むために天気を例に考えてみます。天気も連続的に変化するため、このままではコンピューターで扱うことができません。

 実際の天気を眺めて、離散的な値の関係を代数方程式で表現してみます。ここでは「ある都市の天気は両隣の都市の天気の平均で表される」という関係を見出したとします。これは、都市1, 2, 3が等間隔に並んでいたとすると、都市2の天気 =(都市1の天気+都市3の天気)/ 2という関係式で表すことができます。


図6.3 実際の天気と離散化式

この関係が得られれば、後は計算を行う都市を決めて、関係式を適用することで天気を求められます。例えば、神戸・大阪・京都の3つの都市において、神戸が曇り、京都が晴れだとすると、先ほどの式から大阪の天気はそれらの平均にあたる「雲が多めの晴れ」ということになります。


図6.4 離散化後の考え方

 上の例では感覚的に関係式を決定しましたが、熱流体解析 では、値の関係を示すものが基礎方程式であり、ここから何らかの離散化手法に基づいて代数方程式を構築していきます。このときの離散化手法にはいくつかの方法がありますが、代表的なものとして以下の方法が知られています。

有限差分法(Finite Difference Method: FDM)※ 単に 差分法 とも呼ばれます
有限体積法(Finite Volume Method: FVM)
有限要素法(Finite Element Method: FEM)

 それぞれの離散化手法には長所と短所があり、差分法と有限体積法は熱流体解析、有限要素法は 構造解析 に用いられることが多い手法です。これらをはじめとした何らかの方法で離散化を行うことによって、微分方程式で記述された基礎方程式を、代数方程式(四則演算で記述された方程式)で表現できるようになります。以降では、熱流体解析で用いられることが多い、差分法と有限体積法について説明していきます。

< 6.1 コンピューターと基礎方程式 6.2.2 差分法 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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