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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.5.6 渦

  流れ の回転運動のことです。 旋回流 も同じような意味で用いられることがあります。渦のことを英語ではヴォルテックス(vortex)やエディ(eddy)といいます。

 流体 の運動を考えるために、図3.52に示すような流体の要素を考えてみます。流体の複雑な運動は伸縮変形・せん断変形・回転の組み合わせによって表現されます。

流体要素の運動
図3.52 流体要素の運動

 流体要素が回転しているかどうかは、中央の矢印で確認できます。渦というと回転運動のイメージがありますが、必ずしもそうではありません。例として図3.53のせん断流れを考えてみると、せん断流れ中の流体要素は図のように変形し、中央の矢印から流体要素が回転していることがわかります。このように、感覚的な渦としての形を成していなくても、流体要素としては回転している場合があります。

せん断流れ中の流体要素
図3.53 せん断流れ中の流体要素

 この度合いを示したものが 渦度 です。渦度は基準となる軸の周りについて定義されます。デカルト座標系(x-y-z座標系)であれば、x軸周りの渦度、y軸周りの渦度、z軸周りの渦度のように三つの渦度成分が存在します。渦度はこれらを成分とする ベクトル量 として定義され、渦度ベクトルの向きは渦の回転軸を示しています。

 もっと知りたい   渦線と渦管、渦糸
 速度ベクトルにおける 流線 のように、渦度ベクトルについてもベクトルを滑らかに結んだ線を定義することができます。この線を 渦線 といいます。また、流線に対する 流管 のように、流れの中に考えた閉曲線上から無数の渦線を発生させてできる仮想的な管を 渦管 といいます。また、断面積を極めて小さくした渦管のことを 渦糸 といいます。

 もっと知りたい   渦ありと渦なしの流れ
 ある流れの渦度が 0 のとき、その流れのことを 渦なしの流れ または ポテンシャル流れ といいます。これに対して渦度が 0 ではない流れのことを 渦ありの流れ といいます。

< 3.5.5 抗力と揚力 3.5.7 循環 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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