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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.2.3 流線と流脈線, 流跡線

 流れの代表的な表現として、流線 流脈線 流跡線 があります。 流線はある瞬間における速度ベクトルを滑らかに結んだ線です。流線の接線は流線上の流れの方向を表しています。流脈線は空間中のある点から発生した粒子を結んでできる曲線のことです。煙突から出た煙の軌跡などは流脈線の一種といえます。流跡線はある流体粒子がたどる軌跡のことです。これは、空中に浮かべた風船の軌跡のようなイメージです。

流線と流脈線、流跡線
図3.13 流線と流脈線、流跡線(時間が経過しても流れが変化しない場合)

 時間が経過しても流れが変化しない場合には、流線と流脈線、流跡線は同じ軌跡を描きますが、流れが時間経過とともに変化する場合には、それぞれ異なる結果となります。

 例として、時間が経つにつれて北風が南風に変化していく場合を考えてみます。それぞれの結果を図3.14に示していますが、方法によって結果が異なることがわかります。特に流線はその瞬間の速度ベクトルを滑らかに結ぶことによって描かれるため、考えた瞬間によって全く異なる表現となります。

流線と流脈線、流跡線
図3.14 流線と流脈線、流跡線(時間の経過とともに流れが変化する場合)

 熱流体解析 や実験の結果を可視化する場合、もしくは可視化された結果を見る場合には、これらの表現の違いを把握しておくことが大切です。

 もっと知りたい   流管
 流線は速度ベクトルを滑らかに結んだ線です。このような線を 包絡線 といいます。流線は流れの方向に結ばれた線であるため、流線どうしが交わることはありません。

 そのため、図3.15のように流れの中に閉曲線を考え、その線上から流線を無数に発生させると仮想的な管ができます。この管を 流管 といいます。流線どうしは交わらない、すなわち流線を横切る流れはないことから、流管の表面を通って出入りする流れは存在しないことになります。

流管
図3.15 流管

 もっと知りたい   物体表面の流れ
 実験で流れを可視化する方法に 油膜法 (または オイルフロー )という方法があります。これは物体の表面に油を塗布し、油が描く模様で物体表面の流れを観察する方法です。

 物体表面の油は表面近傍の流れの影響を受けて拡がります。定常流れであれば、油が描く模様は表面に極めて近い位置における流線と見なすことができます。

 なお、熱流体解析のポストプロセッサで見られるオイルフロー表示は、物体表面近傍の速度ベクトルを用いて、物体表面に流線状の模様を描く機能になります。

自動車の車体表面におけるオイルフロー
図3.16 自動車の車体表面におけるオイルフロー

< 3.2.2 圧力 3.3.1 粘性と非粘性 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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