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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.2 流れの表現

3.2.1 速度と速さ, 流量, 加速度

 速度 速さ は単位時間あたりに移動する距離のことで、単位は m/s です。
速度は移動する距離と方向を考えたもので、このように大きさと向きを持つ量のことを ベクトル量 といいます。一方、速さは移動する距離だけを考えたもので、向きは考えません。このように大きさだけを持つ量のことを スカラー量 といいます。 まだ紹介していないものも含まれていますが、表3.1に 熱流体解析 で見られるベクトル量やスカラー量の例を示します。

表 3.1 ベクトル量やスカラー量の例
  ベクトル量 スカラー量
流れ 速度,加速度速さ,圧力
熱流束温度
拡散 拡散流束濃度

 例として、図3.4 のように北向きを正の方向として、1.0 m/s で南北それぞれに歩く人を考えてみます。北向きに歩く人は正の方向なので速度は +1.0 m/s, 南向きに歩く人は負の方向なので速度は -1.0 m/s と表されます。一方、速さは向きを考えないため、ともに 1.0 m/s で等しくなります。このように速さが等しくても、向きが違えば速度は異なることに注意してください。

速度と速さの違い
図3.4 速度と速さの違い

 体積流量 は単位時間あたりに通過する 流体 の体積のことで、単位は m3/s です。体積流量は、基準とする面の面積に面に垂直な流れの速さを掛けることで得られます。また、質量流量 は単位時間あたりに通過する流体の質量のことで、単位は kg/s です。流体の密度が一定の場合には、体積流量に流体の 密度 を掛けたものが質量流量となります。単に 流量 という場合には、一般に体積流量のことを指します。

体積流量と質量流量
図3.5 体積流量と質量流量

 加速度 は単位時間あたりの速度の変化量で、単位は m/s2 です。例えば、図3.6のように2秒間で速度が1.0 m/s から2.0 m/s に変化したとします。2秒間で速度が 1.0 m/s 変化したため、1秒あたりに直すと加速度は 0.5 m/s2 となります。なお、減速した場合には負の加速度となります。

加速度の考え方
図3.6 加速度の考え方

 もっと知りたい   ベクトルの成分
 ベクトル量には成分という概念があります。例として、図3.7に示す2次元の速度ベクトルを考えてみます。

速度ベクトルと成分
図3.7 速度ベクトルと成分

 図のように、速度ベクトルはx方向とy方向に分解することができます。各方向に原点から測った符号つきの大きさのことを 成分 といい、(u, v)のように書きます。

各方向に長さが1のベクトルを 単位ベクトル といいます。x方向とy方向の単位ベクトルをそれぞれ、ex, ey とすると、速度ベクトルと各成分の間には以下の関係が成り立ちます。

u = u ex + v ey

 もっと知りたい   オイラーの方法とラグランジュの方法
 流体の運動を観測する方法として、オイラーの方法 ラグランジュの方法 があります。オイラーの方法は、空間に固定された点から流れを観察するものです。一方、ラグランジュの方法は、流れとともに移動する点から流れを観察するものです。

 図3.8のように自動車の速度を観測する場合を考えてみると、道路脇に立って観測する方法がオイラーの方法、自動車の助手席に乗って観測する方法がラグランジュの方法となります。

オイラーの方法とラグランジュの方法
図3.8 オイラーの方法とラグランジュの方法

 熱流体解析のうち、空間に固定された メッシュ で流れを観測しているものはオイラーの方法にあたります。一方、粒子法 は粒子の一つ一つが流れに追従する観測点であり、ラグランジュの方法にあたります。また、ALE法 のように両者の中間的な立場による方法もあります。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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