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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第1章 熱流体解析とは


1.2 熱流体解析を行う理由

 流体 流れ の移動、物質の輸送は、ある範囲では一定の形の方程式で表現できることが知られています。これを 基礎方程式 といいます。この方程式を解くことができれば、流れや 温度、濃度の分布を知ることができます。

 ところが、未だにこれらの方程式を解析的に解くことはできていません。解析的に解けるとは、数学の授業で習った方程式のように、机上の計算で解が得られることをいいます。基礎方程式が解析的に解けない理由として、方程式が 非線形 であることが挙げられます。非線形とは簡単にいうと比例関係にない状態のことです。これに対して、比例関係にあるものは 線形 と呼ばれます。


図1.5 線形と非線形

 例として、バネを考えてみます。バネを壊れない程度に引っ張ると、引っ張った長さに応じて元に戻ろうとする力が働きます。この力はバネを引っ張った長さに比例するため、力と引っ張った長さの関係は線形になります。ところが、バネを壊れるくらいに引っ張ってしまうと、力と引っ張った長さは比例しなくなり、両者の関係は非線形になります。


図1.6 ばねの例

 線形の場合には、引っ張る長さが2倍になれば力も2倍というように簡単に答えを得ることができますが、非線形になるとバネの伸びと力の関係が複雑になってしまうため、簡単には答えを得ることができなくなってしまいます(どういう引っ張り方をしたのかも考えなければいけません)。

 このような非線形の方程式の中には、表現を変えることで線形に変換でき、解析的に解けるものもあります。しかし、それら一部の例外を除いては解析的に解くことができません。そのため、解を得るためにはコンピューターを使って数値的に方程式を解く必要があります。数値的に解くというのは、解くべき方程式に何らかの数値を代入して、近似的な解を求める方法です。流れの方程式にもこのような非線形の部分があるため、流れを求めるためにはコンピューターを使って計算を行う必要があります。これが 熱流体解析 です。
 
 なお、CFD という言葉を熱流体解析と同じ意味で用いる場合がありますが、厳密にはCFD=熱流体解析ではありません。熱流体解析を用いて現象を明らかにすることや、計算手法などの技術を扱う学問のことを 計算流体力学 (もしくは数値流体力学)といいます。CFDはこの英語表現(Computational Fluid Dynamics)の頭文字をとったものです。

< 1.1 流れが関わる現象 1.3 熱流体解析の活用の仕方 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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