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解析事例・インタビュー

ヤマハ発動機株式会社 様
百分の一秒でも速くなる設計を探し出す、
世界最高峰レースMotoGPを支えるCFD活用

[前編] オートバイの代表的メーカーであるヤマハ発動機。同社は長年国内外のレースに参戦してきた実績をもつ。その中でも二輪レース最高峰のMotoGPで、同社はソフトウェアクレイドルの流体解析ツール「SCRYU/Tetra」を活用し続けてきた。ツールのロバスト性や操作のしやすさが車両開発現場のスピード感にマッチするとともに、可視化機能がレギュレーション交渉で大きな効果を発揮しているという。

写真1 2019年 MotoGPマシン「YZR-M1」と ライダー
マーベリック・ビニャーレス(左)、バレンティーノ・ロッシ(右)

連綿と続く国際レース出場の歴史

  ヤマハ発動機は売り上げの6割をオートバイが占める世界有数のバイクメーカーである。さらに船外機やATV(四輪バギー)、スノーモービル、さらに自動車用エンジンやチップマウンタ―、産業用ロボットや無人ヘリコプターなど、多彩な製品を手掛ける。また売り上げの約9割は海外という国際企業でもある。

 

  ヤマハ発動機のモータースポーツ参戦の源流は、1955年の第3回富士登山レースでの、モーターサイクル第1号機「YA-1」による優勝にさかのぼる。それ以来、活躍の場を世界に広げながら、レースへの参戦を続けてきた。

 

 中でも二輪の最高峰レースであるロードレース世界選手権(MotoGP)は、欧州をはじめとして世界中で根強い人気をもつモータースポーツだ。毎年3月から11月の期間に、日本を含めた4大陸で19戦が行われ、大会の模様は207カ国にライブ中継される。

 

 ヤマハ発動機のファクトリーチーム「Monster Energy Yamaha MotoGP」は、2015年にライダーチャンピオンおよび、チーム、コンストラクターの三冠を達成しており、2019年は、バレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスの両ライダーを擁し、MotoGPマシン「YZR-M1」(写真1)でレースを戦っている。

写真2 ヤマハ発動機 MS統括部 MS開発部
モトGPグループ 川勝翔太郎 氏

写真3 ヤマハ発動機 先進技術本部 技術企画統括部 デジタルエンジニアリング部
基盤強化グループ 主務 嶋田喜芳 氏

 このMotoGPのレース車両の開発に携わるのが、ヤマハ発動機 MS統括部 MS開発部 モトGPグループの川勝翔太郎氏(写真2)である。川勝氏は2016年にヤマハ発動機に入社した。モトGPグループに配属されてレース車両の空力解析に取り組んだのち、現在は空力を含む幅広い設計開発に携わる。

 

 一方、ヤマハ発動機における全社的な解析ツールの活用や教育に携わるのが、ヤマハ発動機 先進技術本部 技術企画統括部 デジタルエンジニアリング部 基盤強化グループ 主務の嶋田喜芳氏(写真3)だ。嶋田氏は、1987年に入社して車体設計に取り組んだ後、MSC Nastranを用いた構造解析に専任者として約10年携わった。2000年からはSCRYU/Tetraを用いた流体解析の取り組みをスタートし、現在は流体解析に関する様々なツールの開発や導入、解析の教育や手順書の整備などを行っている。

 

 現在開催されているMotoGPは2002年にスタートした。この当初からヤマハ発動機ではSCRYU/Tetraを活用して車両開発を行ってきたという。「当社では走行性、快適性、信頼性という総合力の向上にSCRYU/Tetraを活用しています」と川勝氏は語る(図1)。

 

MotoGP車両の設計で空力や熱流れを検証

 空力を考える上でのポイントの一つは、直進安定性だ。MotoGPでは排気量1000㏄、240馬力以上のバイクで、最高速は時速350キロメートルにも達する。これは新幹線を超えるスピードだ。このような高速でも振られがなく安定して走行できることは、タイムだけではなく生身で走るレーサーの安全面でも重要になる。

図1 MotoGPのこれまでの活用状況と成果(2002年~2018年)
※クリックで拡大

 もう一つのポイントは、コーナリング時における操縦性の容易さである。コーナーに入る際でさえ車速は時速200キロメートルほどあり、一方で傾きの角度は60度にもなる。ここでは空気による力がライン取りやライダーの体力の消耗に大きく関わってくる。

 

 またそれ以外にも空気の流れが影響する部分は多々あり、例えばノーズインテークの空気取り込みによるエンジン馬力の改善や、ラジエータやオイル、ブレーキ、さらに電装部品の冷却性なども考慮する必要がある。ただ、これらの検証をすべて風洞などで行うのは非常に手間がかかる。また人が乗るものなのでそもそも実験が難しい。そこでSCRYU/Tetraで事前確認を行っているという。

※scFLOW、およびSCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2018年9月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。​

プロフィール





 

ヤマハ発動機株式会社
創立 1955年(昭和30年)
事業内容 ・ 二輪車事業
・ マリン事業
・ 特機事業
・ 産業用機械・ロボット事業など
代表者 代表取締役社長 日髙 祥博
本社所在地 静岡県磐田市
URL https://global.yamaha-motor.com/jp/

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