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解析事例・インタビュー

アサヒビール株式会社
グラス内の気流解析を実施し『香りに出逢うグラス』を開発
~グラスの形状から香りの拡散を予測する手法について~

 アサヒビールはアサヒ飲料、アサヒグループ食品などを傘下に持つアサヒグループホールディングスの酒類事業会社である。「スーパードライ」「クリアアサヒ」「ドライゼロ」などのブランドで広く知られるアサヒビール。特にスーパードライを主力製品とするビール市場においては、国内大手5社全体でシェアは約50%と断然の首位に立つ。そんなビールメーカーという印象が強いアサヒビールだが、アルコール飲料ではビールのほか、発泡酒や第三のビール、焼酎、梅酒、低アルコール飲料、ワイン、そしてニッカブランドのウイスキーなど、ほとんどの酒類をラインナップし(写真1)、あらゆる切り口から価値を提供し続ける「真の総合酒類No.1企業」を目指している企業だ。

写真1 アサヒビールの商品の一例

 

写真2 アサヒビール株式会社
容器包装研究所 機器開発部 上席主任研究員
博士(工学)佐藤 英明 氏

CAE解析ツール導入のきっかけ

 同社では、2009年にアサヒビール食品技術研究所に所属していた佐藤英明氏(現、アサヒビール 容器包装研究所 機器開発部 上席主任研究員・写真2)がサプリメントなどの錠剤の開発に、構造力学解析や最適化解析等のCAE解析ソフトウェアを活用し、飲み込みやすい錠剤の形状開発に成功したという実績があり、CAE解析の活用範囲の拡大をしていた。熱流体解析のソフトウェアの導入に当たり、機能的な面と操作性のバランスの良さから、SCRYU/Tetraを導入することに決めたという。営業担当者の専門知識の豊富さ、サポートエンジニアの技術レベルの高さも決め手になった。何より、熱流体解析のエキスパートであるという熱意に押されたという。

 

『香りに出逢うグラス』の開発の経緯

 香りとは商品の魅力そのものであり、これを最大に引き出すグラスは飲むとき品質の向上につながる重要な容器である。そこで、「商品の香りを最大限に引き出す特別なグラスを開発したい」という思いに活用されているのが、ソフトウェアクレイドルの熱流体解析ソフトウェアSCRYU/Tetraである。グラス内の拡散物質が拡散する現象を様々な形状のグラスでシミュレーションし、人の感覚とともに評価・検証。工学と官能が融合したグラスの形状設計手法を導き出した。

図1 赤外線カメラによるアルコール拡散のビジュアル化
※クリックで拡大

 

図2 CAE解析結果(グラス内空気の拡散物質の濃度×流速を表示) 球体部にアルコールが流れ込む様子を模擬
※クリックで拡大

 

図3 蓋の動きを模擬 ※クリックで拡大

グラス内の気流解析を実施

 はじめに、ワイングラスやカクテルグラス、汎用グラスなど10種類の形状の異なるグラスにウイスキーを一定量充填し、一定時間蓋をし、蓋を外した直後のグラス内で蒸発したアルコールが拡散する様子を、特殊なアルコール可視化カメラ(図1)で撮影した。このカメラは佐藤氏がこの研究開発テーマのために探し出したものである。撮影すると予想通り、アルコールの拡散を可視化することに成功した(図2)。アルコールには香りの成分が含まれているため、この挙動をCAE解析上で模擬できれば、香りの拡散の模擬になると考えた。次にSCRYU/TetraでCAE解析モデルを作成するステップに移った。

 佐藤氏はまず、一つ一つのグラス形状を計測し、3D-CADソフトで3次元モデルを作成した後、CADデータをSCRYU/Tetraで読み込み解析を行った。次に蓋の開放によるグラス内空気の対流を模擬するために、蓋そのものをモデリングするのではなく、体積力という機能を用いることにより、グラスの上部に流速を発生させ、蓋の動きを再現した(図3)。

 SCRYU/Tetraでは、拡散物質の濃度や流速などさまざまな項目が表示できる。さらに表示上では、「拡散物質の濃度×流速」も可能である。特殊カメラは、アルコールの濃度が高く、アルコールの流れの速度が速いほど鮮明に映る。両者の動画を比較したところ、見事に一致した。グラスの形状から香りの拡散を予測することに成功した瞬間であった。本モデルによる解析結果と、ブレンダーによる官能評価の結果が、良好に一致していることも確認した。このグラス形状の決定方法は一連の工程を特許申請(出願番号:特願2016-155839)もしているとのことだ。

SCRYU/Tetraを選んだきっかけ

 佐藤氏はSCRYU/Tetraのメリットについて、国内スタッフのサポート体制の充実をまず挙げる。「最初の段階で、対応できるかできないかが分かることが大きいですね。そして、対応いただける割合が高く、対応のスピードも迅速です」と佐藤氏。さらに、自社開発であることから対応の質も変わってくるという。「カスタマイズといいますか、融通がききます。自社で開発されているので、極端にいえば一からつくり変えることも可能でしょう」(佐藤氏)。操作で最も気に入っているのは、解析をかける時に「終了予定時刻」が出てくることだという。プロジェクトの進捗に予測がたつからである。また、営業、技術のスタッフから、熱流体ソフトウェアの専門会社である気概を感じたことが、最大の決め手だったと語る。

 

今後について

 佐藤氏の現在の所属は、容器包装研究所 機器開発部であり、ビール用ディスペンサーの研究開発を担当するセクションである。佐藤氏は、「ビール用ディスペンサーは、熱交換器であるため、熱流体解析ソフトウェアSCRYU/Tetraの真骨頂である」と語る。ビールの冷却効率を定めるために、解析上でさまざまな試行錯誤を行っている最中である。

※SCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2016年12月現在(2018年4月一部改訂)のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。​

プロフィール

 

アサヒビール株式会社
事業内容 ビール、発泡酒、焼酎、チューハイ、洋酒、ワイン等の製造・販売
研究開発センター所在地 茨城県守谷市
URL http://www.asahibeer.co.jp/

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