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解析事例・インタビュー

流体テクノ株式会社 様
豊富なデータとCFDのコラボレーションで
さらなる競争力の獲得へ

[後編] 船型設計や省エネ装置の設計、製造、関連サービスなどにおいて高い技術力をもつ流体テクノ。省エネ性能の要求という追い風の中、より高性能の製品をより短期間で提供するため、あらたなCFD活用の取り組みを開始した。そこで使われているのが、ソフトウェアクレイドルの流体シミュレーションソフトウェアSCRYU/Tetra®である。

重要な位置を占めるCFD

 設計の流れは、まず注文主からサイズや積み荷の重量、船速、二酸化炭素排出量などの仕様が提示される。これらを元に 概形を決め、続いて性能の概略を決める。ここで簡単なシミュレーションを行い、問題がなければ3次元CADでなめらかな形状をつくる。これを元にCFDによって船体抵抗や自航要素、船体表面流れ、造波抵抗などの評価を行う。このCFDによるプロセスが非常に重要になるという。これをクリアすればプロペラを設計し、他の性能を計算、問題がなければ試験を行う。試験はほぼ1回きりだ。問題があれば後戻りで設 計を修正したりするが、後戻りをすると半年をロスし、また試験費用も余計に掛かる。そうならないためにできるだけ模型試験の前に評価をすることが大切になる。「CFD による評価が、その手段の一つとして使えるという時代になってきたと思います」(玉島氏)。CFDのさらなる活用を実現するために、約1年前からソフトウェアクレイドルと協力しながら、SCRYU/Tetraを本格的に活用する準備を始めたという。

 船舶の使用燃料を減らすためには、水の抵抗をなるべく受けない形状にする必要がある。一方目標の荷物は積めるような形状でなければならない。こういった制限の中でバランスを考えながら形状を決定していく。そのためには流体力学的な技術力が必要になってくる。「大手造船メーカーでは社内に専門の部署がありますが、小さいところでは部門すらありません。実施するには経験の蓄積も必要です。そういった分野で我々の技術を提供することができるでしょう」(玉島氏)。船型の開発のスピードが求められている中、CFDをどんどん回してどの船形がよいか求める。その中で一番よかったものを大型水槽に持っていって実験するということを進めたいという。

図3 図2の状態をSCRYU/Tetraで解析したところ
― 舵に付くバルブのサイズを変えることで流れを可視化するとともに、舵にかかる力の変化を検証している
※クリックで拡大

水面より上や内部流も解析したい

 上記のように全体のバランスを見ながら燃費性能を追求するほかにも、SCRYU/Tetraを使って取り組みたいことは多くあるそうだ。例えば船のスピードを上げようとすると操縦性が悪くなるという事象が発生しているという。従来使用しているCFDツールでは水の抵抗を解析することはできるものの、操縦性の評価は得意ではないという。そこでSCRYU/Tetraを活用して検証できればということだ(図3)。


 また主な解析部分は水面の下だが、それだけでなく水面の上、つまり風圧抵抗についても検証したいという。顧客からの要望もあるといい、上甲板の形状をどうすれば風圧抵抗が減るかといったことにも使っていきたいそうだ。

図4 シーチェストの解析
※クリックで拡大

 船に関わる流れには、船の外を流れる「外部流」のほかに「内部流」もある。例えば船の下部にある空間のシーチェストから海水を吸い込んで、バラストタンクに水を取り入れたり、熱を持つエンジンなどを冷やすシステムがある。この海水の取り込みがスムーズにいくかどうかについてもSCRYU/Tetraで検証を進めているところだ(図4)。

 さらに燃費性能の向上で注目されるのが、省エネ付加物だ。船体の形状だけでなく、船体に省エネ付加物と呼ばれるパーツを付けることでより燃費を向上させることができる。こういった船の流れにまつわるさまざまな検証を、SCRYU/Tetraを使って行えると期待しているという。

 

 現在は合わせ込みをしているところで、「実験データを使いながら、データとの整合性がどうしたら取れるのか、メッシュの切り方や格子数、さまざまなチューニングの数値を確認しながら調べて、活用できるように持っていきたい」(玉田氏)という。

 導入の最終目的は、外部流と内部流、水の流れと空気の流れといった船に関する流れ全般を取り扱うことだ。「これらの流れを設計のなるべく早い段階で把握したいと考えています。最終的に目指すのは、できるだけ短時間でよい設計ができること。そのツールとしてCFDは非常に役に立つと期待しています。私たちの実験データも提供することで、ソフトウェアクレイドルと協力してよりよいシミュレーション環境が実現できるのではないかと思っています」(玉島氏)。

 

使いやすくポストのクオリティが高い

 ソフトウェアの使用感については「使いやすく感じます。やはり日本のサポートが入ることもあり、質問もしやすいし、取扱説明書がとても分かりやすいのも非常によかったです」(玉田氏)とのことだ。

 メッシュは他のツールでは切れないことも多いが、SCRYU/Tetraでは簡単に切れ失敗することもないそうで、あとはどう切るか、細かさをどうするかといったことを検証中だという。今は計算スピードがネックだそうで、ハードを整備しつつ計算スピードの向上も進めばということだ。

 「ポスト処理は非常に楽で、さまざまな可視化が簡単にできます。ビジュアル的によくできているソフトだと思います」(玉田氏)。要望としては、レポートタイプでも出れば使いやすいということだ。また将来的には波浪中での船舶の性能も解析したいという。
 

検証のしやすさを実感

 だが、「やはり評価はしやすい」(玉島氏)という。相対的な違いが非常に分かりやすくなったということだ。「評価するのがずいぶん楽に、効果的に短時間でできるようになったと思います」(玉島氏)。解析することによって、実験計画も立てやすくなるという。「何もなければ5ケース実験するところを、CFDで確認することで候補を減らすことができます。または代わりに別のケースの実験を行うこともできます。船体についても同様の形でCFDを取り入れていけば、確実に業務の効率化につながるでしょう」(玉島氏)。

 さらに流体テクノではよりよい設計を行おうと、新たな取り組みを進めている。設計や解析をするのは3次元でも、見るのは画面や紙の2次元だ。そこで同社では、3Dプリンタの活用も進めていくそうだ。「図面で見ても分からないことが立体では直感的に評価できます。特に船尾の形状は非常に重要なので、立体で出力して評価に役立てたいと思っています」(玉島氏)。3Dプリンタでの評価工程をCFDと模型試験の間に加えることで、模型試験をより確実に実行していきたいということだ。

 流体テクノはさらなる競争力を得るため積極的な3D活用を推し進めている。ソフトウェアクレイドルもその力になるべく全力でサポートしていく予定だ。
※SCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2016年2月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

プロフィール

 


 

流体テクノ株式会社
設立 2001年
事業内容 船型の設計・開発支援、省エネ装置の設計・取り付け、試験用模型船の設計、船舶関係の試験支援、船舶性能計算用プログラム作成
本社 長崎県佐世保市
代表者 代表取締役 玉島正裕
URL http://www.fluidtechno.com/

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