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アズビルでは調節弁の設計にSCRYU/Tetra®を活用している。キャビテーションモデルなど年々進化する機能を活用し、高い精度で流体解析を実施、大幅なコスト低減効果を得ているという。詳細についてバルブ商品開発部 開発1グループの野間口謙雄氏に話を聞いた。
図1:アズビルで開発している
空調用調節弁
アズビルは計測および制御機器における 大手メーカーである。2006年にグループ理念「人を中心としたオートメーション」とシンボルの「azbil」を制定し、2012年に山武からアズビルに社名を変更した。
同社の事業内容は、大きく3つの柱からなる。ビルディングオートメーション事業では、建物に関する空調関連製品/サービス を提供。アドバンスオートメーション事業では、石油化学プラントや工場向けの制御 関連製品/サービスを提供している。そしてライフオートメーション事業では、家庭に直接かかわるガスや水道のメーター、さらに健康や介護などに関連した製品/サービスなどを扱う。
アズビル株式会社
バルブ商品開発部 開発1グループ
課長代理 野間口 謙雄 氏
アズビル株式会社 バルブ商品開発部 開発1グループの野間口謙雄氏が取り組むのは、調節弁(コントロールバルブ)の開発である。調節弁とは、配管の途中に挿入されて液体や気体などの流量を調節するもので、工場やプラントにおける各種液体や気体の輸送、ビルにおける空調機まわりの液体輸送など、さまざまな場面で使われている。主力製品である調節弁は、アズビルが1936年に初の国産調節弁の販売を開始しており、古い歴史と実績を持つ分野である。
図2 空調用調節弁まわりのシステム図
同社が扱う調節弁には、オフィス、病院などの建物の空調用途向けとプラントや工 場などのプロセス制御向けの大きく2つがある。とくに野間口氏のグループでは、前者の製品を開発している。空調用の調節弁は図2のシステムで使用されている。冷温水はポンプによって各階に運ばれ、空調機内に導かれる。そして、空調機内で熱交換することにより室内へ冷風or温風が送り込まれるシステムだ。このシステム中で冷水または温水の量を調節するのが調節弁の役割である。調節弁のサイズは、小さいものは片手で持てる程度だが、大きなものは100kgを超えるものもある。
近年では、とくに小型で軽量の製品が求められるという。調節弁は電動モータ で動かすため、プラグなどの調節弁内部 の部品が小型の方が消費電力も少なくて済む。また、製品全体が小型軽量だと取り付け作業の負担も減らすことができる。一方、調節弁としての流量を確保する必要もあるため、必要な流量の確保と小型軽量化のバランスを考えながら設計を行っていると野間口氏は語る。
流体を扱う調節弁には、流体騒音やキャビテーション(液体が急激な圧力低下により気泡が発生する現象で、騒音や調節弁などの損傷につながる)の低減を考慮した設計が求められる。それまでは、 流量については、流路面積に対しどのくらいの量が流れるのか経験的にわかっていたため、それをベースに設計をしてきたが、流体騒音やキャビテーションの低減を考慮した設計を効率的に進めるにあたり、その選択肢として、熱流体解析ソフトの活用が候補として挙がった。
いくつか候補があった中でSCRYU/Tetra®を選んだ理由は、非構造格子でメッシュ作成の自由度も高く、実験結果との良い一致が得られたことが大きいという。 また、「国内開発のため、問い合わせが直接メールや電話ででき、スピーディーに対応してもらえるので、他社と比べ非常に満足のいくサポートが受けられたのも決め手となりました。」(野間口氏)
野間口氏のグループでは、流れ解析、つまり流量や流速分布の予測に主に利用している。設計から試作、実験までの一連の業務をグループ内で行っている。
解析用のモデルは主にCADthru®で作り込む。「SCRYU/Tetra®はV7のバージョンアップ以来、ウィザード形式での条件 設定が出来るようになり使いやすくなりました。また、既に計算したデータの条件を変更して解析し直す場合には、SCRYU/Tetra®を起動することなく、テキストエディタで手軽に編集できるので、とても使い勝手がよいソフトです。」(野間口氏)
創業 | 1906年 |
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主要製品 | 制御・計測機器などの開発・設計など |
代表者 |
代表取締役会長 小野木 聖二 代表取締役社長 曽禰 寛純 |
本社 | 東京都千代田区 |
従業員数 | 5,335名(2013年3月31日現在) |
資本金 | 105億2,271万6,817円(2013年4月1日現在) |
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