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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第6章 熱流体解析の手法


6.2.3 有限体積法 (2)

 有限体積法 熱流体解析 を行う際の考え方について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。前回の水槽の例と、熱流体解析の 基礎方程式 の対応をまとめると、表6.1のようになります。「水位 = 水量 / 水槽の底面積」の関係があることに注目してください。

表6.1 水槽の例と基礎方程式の対応
(水槽) ナビエ・ストークス方程式 エネルギー保存式 化学種の保存式
(質量分率の場合)
水量 運動量 熱量 成分の質量
水位 速度 温度 質量分率
水槽の底面積 質量 熱容量 混合物の質量


まず、流れ の場合には、流入量や流出量は 運動量 となります。運動量の出入りは移流(流れによって運動量が運ばれる)や 粘性圧力 の働きによって生じます。また、何らかの外力が作用する場合にはその影響も加わり、これを水槽の例で表すと図6.9のようになります。


図6.9 運動量の収支を水量で表現した例

水の収支が運動量の変化に当たり、これをコントロールボリュームの質量で割ることによって速度の変化が求められます。質量は水槽の底面積に当たりますが、これは同じ水量の変化であっても、水槽の底面積が小さいほうが水位の変化が大きくなるように、同じ運動量の変化であっても質量が小さいほうが 速度 の変化が大きくなることによるものです。先ほどの図6.9を模式的に表すと、図6.10のようになります。


図6.10 速度(ナビエ・ストークス方程式)の場合

 温度 の場合には、流入量や流出量は 熱量 となります。熱量の出入りは移流のほかに 熱伝導 放射 によって生じ、発熱もしくは吸熱がある場合には、その影響も加わります。これらの収支が熱量の変化に当たり、これをコントロールボリュームの 熱容量 で割ると温度の変化が求められます。


図6.11 温度(エネルギー保存式)の場合

 物質拡散 の場合には、流入量や流出量は成分の質量となります。成分の出入りは移流や 分子拡散 によって生じ、物質の発生もしくは吸収が生じる場合には、その影響も加わります。これらの収支が成分の質量の変化に当たり、これをコントロールボリュームの質量(混合物の質量)で割ると 濃度質量分率)の変化が求められます。


図6.12 濃度(化学種の保存式)の場合

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

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