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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第6章 熱流体解析の手法


6.2.3 有限体積法 (1)

 有限体積法(Finite Volume Method: FVM)は解析を行う空間を小さな空間に分割し、それぞれの空間を出入りする物理量の収支から値を計算する方法です。この小さな空間のことを コントロールボリューム といいます。

 例として、コントロールボリュームを水槽、出入りする物理量を水に置き換えたものを図6.7に示しています。計算によって求めたいものは水位です。

ある時間における水量の変化は水の収支、すなわち水の流入量から流出量を引いたものに等しくなります(図6.7 (a))。こうして得られた水量の変化を水槽の底面積で割り、水位の変化量を求める(図6.7 (b))のが有限体積法の考え方です。



図6.7 有限体積法の考え方

解析対象を複数の空間で分割した場合には、図6.8のように水槽が連なった状態になります。


図6.8 複数の空間で分割した場合

 隣接する空間どうしでは、一方からの流出量がもう一方への流入量となります。そのため、途中で水が増えたり減ったりすることはなく、総量が保存されることになります。これが有限体積法の長所の一つであり、保存性が良い 保存的である と表現されます。

 また、先ほどの水槽の例では流入口と流出口がそれぞれ一つずつでしたが、これらが一つずつである必要はありません。流入口や流出口がいくつあっても収支さえわかれば、コントロールボリュームの値を求めることができます。これは言い換えれば、コントロールボリュームが隣接する空間の数はいくつあってもよいということです。そのため、有限体積法は格子状の規則的な空間分割だけではなく、隣接する空間の数が場所によって異なるような不規則な空間分割に対しても適用することができます。このような特徴から、商用の熱流体解析ソフトウェアには、有限体積法に基づいた 離散化 を用いているものが数多くあります。

 次回は、有限体積法について、もう少し詳しく説明していきます。

< 6.2.2 差分法 6.2.3 有限体積法 (2) >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

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