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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第6章 熱流体解析の手法


6.1 コンピューターと基礎方程式

 第3章から第5章の章末で説明したように、流体 流れ 伝熱、物質の 拡散 といった現象は微分方程式によって表現されます。これらの方程式のことを 基礎方程式 または 支配方程式 といいます。非圧縮性流体 の流れと伝熱、物質拡散を考える場合には、基礎方程式は以下の4つとなります。

(流れ) 連続の式質量保存式
(流れ) ナビエ・ストークス方程式運動量保存式
(伝熱) エネルギー保存式
(拡散) 化学種の保存式

これらの基礎方程式を解析的に解くことができれば、直ちに 流速 温度 などの分布が得られます。しかし、解析的に解が得られるのはごく限られた場合のみで、ほとんどの場合には解析的に解を得ることができません。そのため、流れの様子などを予測するためには 熱流体解析、すなわち、基礎方程式をコンピューターによって解くことが必要になります。

 ところが、基礎方程式をコンピューターでそのまま解けるのかというと、残念ながら解けません。これには大きく二つの理由があります。

 一つ目には、基礎方程式が連続的な数値、すなわちアナログのデータであるのに対し、コンピューターでは離散的な数値、いわゆるデジタルデータしか扱えないことが挙げられます。例として、という関数を考えると、この関数のグラフは図6.1に示す連続な曲線になります。


図6.1 関数のグラフ

では、電卓を使ってこの関数の値を計算することを考えます。皆さんはどのように計算するでしょうか。

といった具合に計算しないでしょうか。上の例ではという3つの数値を考えましたが、コンピューターではこのように飛び飛びの値、離散値 で考える必要があります。ここでは電卓を例に取りましたが、基本的な考え方はコンピューターでも同じです(コンピューターは大量の計算を高速に処理できる高級電卓のようなものです)。図6.2に示すように離散値の間隔を狭めていくと元の関数に近づいていきますが、決して連続になることはありません。


図6.2 離散値の集合

 二つ目は、コンピューターで行うことができる数値計算(算術演算)は四則演算(+, -, ×, ÷)であるということです。基礎方程式は微分方程式ですが、これをそのまま計算することはできないため、何らかの方法を用いて四則演算だけの表現に書き換える必要があります。これも電卓では、微分をそのまま計算できないことを思い浮かべると分かりやすいと思います。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。

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