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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.6 流れの基礎方程式

  デカルト座標系 (x-y-z座標系)で 粘性係数 が一定の 非圧縮性流体 の流れを考えると、 流体 流れ は二つの方程式によって表現することができます。これらの方程式のことを 基礎方程式 といいます。

 一つ目の基礎方程式は質量の保存を表した式で 連続の式 または 質量保存則 といいます。流速 の x, y, z 方向成分をそれぞれ u, v, w で表すと、連続の式は以下のように書くことができます。

 これは 検査体積 へ出入りする流体の体積のつり合いを表し、左辺の第一項から順にx方向, y方向, z方向の流体の出入りに対応しています。各方向から出入りする流体の体積の合計が0になる、すなわち流体が検査体積の中で突然現れたり消えたりしないことを表した式になります。

 なお、検査体積とは、流れの中に考えた仮想的な体積のことで コントロールボリューム と呼ばれることもあります。 熱流体解析 で行う 要素 分割( メッシュ 作成)は解析領域を検査体積に分ける作業になります。

検査体積に出入りする流体
図3.57 検査体積に出入りする流体

 図3.57に示すように、直方体の検査体積の各面から流入と流出がある場合を考えると、連続の式は以下のように表されます。

 二つ目の式は運動量の保存を表したもので、方向ごとに合計三つの式が存在します。これらを ナビエ・ストークス方程式 または 運動量保存式 といい、圧力を p、流体の 密度 動粘性係数 をそれぞれ ρ と ν とすると、以下のように書くことができます。

左辺第一項のことを 時間項 といい、時間の経過に伴う流れの変化を表しています。
左辺第二~四項のことを 移流項 または 対流項 といい、図3.58に示すように流れの分布が流れ自身によって運ばれていく効果を表しています。

ナビエ・ストークス方程式の移流項のイメージ
図3.58 ナビエ・ストークス方程式の移流項のイメージ

右辺の第一項を 圧力項 といい、圧力差によって流体に作用する力の影響を表しています。
右辺の第二項は 粘性項 といいます。図3.59のように粘性の働きによって流れが均一になっていく様子を表しています。

ナビエ・ストークス方程式の粘性項のイメージ
図3.59 ナビエ・ストークス方程式の粘性項のイメージ

そして、右辺の第三項は 外力項 といい、外部から加えられる力の寄与を表しています。外部から力を加えない場合には、0となります。

 これらの方程式によって、 乱流 を含めた多くの流れを記述できることが知られています。つまり、方程式の解さえ得ることができれば、さまざまな流れ場が求められるということです。ところが、移流項が 非線形 の項であることから、ごく限られた条件を除いて 解析解 を求めることはできていません。そのため、コンピューターを用いた熱流体解析によって 数値解 を求め、流れをシミュレートすることが行なわれています。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

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