Home > 技術情報・コラム > もっと知りたい! 熱流体解析の基礎 > 3.5.4 円管内の流れ

技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.5.4 円管内の流れ

 滑らかでまっすぐな円管を 流体 が流れる場合について考えます。流体が円管に流入すると、下流に向かうにつれて 境界層 が発達し、速度分布が変化していきます。そして、境界層が十分に発達すると、流れ の速度分布は放物状となり、それ以降は一定となります。このように速度分布が変化しなくなった流れのことを 完全に発達した流れ といいます。また、流れが完全に発達するまでの区間のことを 助走区間 といい、その区間の長さを 助走距離 といいます。

円管内の流れの様子
図3.43 円管内の流れの様子

 円管内の流れの 臨界レイノルズ数 は約 2,300 で、それ以下の レイノルズ数 では流れは 層流 となります。層流の場合の速度分布は解析的に求められ、図3.44 (a) のような放物線になります。この流れを ハーゲン・ポアズイユの流れ といいます。

 一方、 乱流 になると壁面近傍の速度変化が急激になり、速度分布は図3.44 (b) に示すような台形状の分布へ変化していきます。このときの速度分布は複雑となるため、層流のときのように解析的に求めることはできません。3.5.2節の  もっと知りたい  乱流境界層の速度分布 で紹介した 壁法則 によって与えられます。

円管内の速度分布
図3.44 円管内の速度分布

 もっと知りたい   円管内の流れの損失
 円管内を流体が流れると、 粘性 による摩擦損失が生じます。この損失を 3.5.1節の 動圧 のように 圧力 の次元で表したものを 圧力損失 といいます。また、速度ヘッド のように長さの 次元 で表したものを 損失ヘッド もしくは 損失水頭 といいます。図3.45に示すように2本の垂直な管が突き出た円管を考えると、下流では摩擦による損失ヘッドの分だけ液柱の高さが低くなります。

円管内の損失ヘッド
図3.45 円管内の損失ヘッド

 管内の十分に発達した流れで生じる圧力損失 Δp [Pa]、損失ヘッド h [m] を与える式として、以下の ダルシー・ワイズバッハの式 が知られています。

ここで、λ 管摩擦係数 ρ [kg/m3 ] は流体の 密度 L [m] は管の長さ、d [m] は円管の直径を表し、v2 /2g [m] は速度ヘッドです。ダルシー・ワイズバッハの式とハーゲン・ポアズイユの流れの式から、層流の場合の管摩擦係数は以下の式で与えられます。

この式から、層流の場合の管摩擦係数はレイノルズ数 Re のみに依存して決まることがわかります。

 もっと知りたい   矩形管の流れ
 矩形管内の流れは円管に比べて複雑になりますが、管摩擦損失のみを考える場合には、矩形管と等価な円管を考えることによって、円管に関する式を用いることができます。 矩形管を等価な円管に置き換えたときの直径を 水力等価直径 、矩形管の周囲の長さのことを 濡れ縁長さ といいます。ここでは例として、図3.46に示す矩形管を考えてみます。

矩形管のサイズ
図3.46 矩形管のサイズ

この矩形管の濡れ縁長さを L [m], 管の断面積を A [m2 ] とすると、等価な円管に置き換えたときの水力等価直径 D [m] は次の式によって与えられます。

< 3.5.3 流れの剥離 3.5.5 抗力と揚力 >

 

上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

※お客様の個人情報の取り扱いにつきましては、弊社個人情報保護方針をお読みになり同意の上お進みください。
※頂きましたご質問は、担当部署よりご回答申し上げます。内容によっては回答までに数日かかる場合がございます。
※お問い合わせの内容によっては(例:宣伝・勧誘・売込み等)、ご返信を差し上げられない場合がございます。

バックナンバー

基板専用リアルタイム熱解析ツール PICLS

TOP