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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.4 様々な流れ

3.4.1 定常流れと非定常流れ

 ある地点で川の 流れ を観察していたとします。川の流れを変化させる要因が何もない場合には、時間が経っても流れは変化せず一定の状態になります。このように時間が経過しても変化しない流れのことを 定常流れ といいます。

 一方、川の中を魚が泳いでいる場合には、時間が経っても川の流れは一定とはなりません。このように時間の経過とともに変化する流れのことを 非定常流れ といいます。

定常流れと非定常流れ
図3.24 定常流れと非定常流れ

 ここでは流れについて説明しましたが、同様に 温度 など他の量についても「時間が経過しても値が変化しない」や「時間が経過すると値が変化する」のように考えることができます。流れに限らず、系全体でつり合いが取れており、時間が経過しても変化しない状態のことを 定常状態 といいます。一方、つり合いが取れておらず、時間の経過とともに変化する状態のことを 非定常状態 といいます。

 もっと知りたい   非定常流れの要因
 定常状態が存在する流れであっても、その状態に達するまでの過渡的な状態は時間経過とともに変化する状態であり、非定常流れにあたります。

 また、定常状態が存在しない場合もあります。一つ目は図3.25の (a) のように変化を引き起こす要因が時間の経過とともに変わる場合です。これは川の流れであれば、水門が開いたり閉じたりするような場合に相当します。水門の開き具合が時間によって変化するため、その結果として生じる流れも時間によって変化する非定常流れとなります。

 二つ目は (b) のように乱れが大きい場合です。例えば、風が木に当たると流れが乱され、流れの不均一さが大きくなります。このようにして流れの乱れがある程度大きくなると、左から右へ向かうマクロな流れとは別に、小さなスケールで時間とともに変化する流れを生じます。そのため、乱れの大きな流れもミクロな視点からは非定常流れとなります。

非定常流れとなる場合
図3.25 非定常流れとなる場合

 もっと知りたい   準定常流れ
 一様な流れの中に物体を置くと、条件によっては物体の後方に図3.26のような渦を生じる場合があります。このようなのことを カルマン渦 といい、特に図のようにこれらの渦が列をなす場合には カルマン渦列 という場合もあります。

円柱の後方に生じるカルマン渦
図3.26 円柱の後方に生じるカルマン渦

 このような流れは時間の経過とともに変化するため非定常流れに分類されますが、円柱の後方に向かって左右交互に渦が生じ、周期的な流れとなります。このように非定常流れでも、周期性が見られる流れのことを区別して、 準定常流れ という場合があります。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

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