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技術情報・コラム

もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

第3章 流れ


3.3 流体の性質

3.3.1 粘性と非粘性

 実在する 流体 には粘りがあります。そのため、流体に力が加わるとその力に抵抗する力が作用します。この性質を 粘性 といい、粘性がある流体のことを 粘性流体 といいます。一方、粘性がない仮想的な流体のことを 非粘性流体 といいます。

 粘性によって生じる力を考えるために、図3.17のように2枚の板に挟まれた流体の 流れ を考えてみます。このような流れを クエット流れ といいます。

クエット流れ
図3.17 クエット流れ

 上の板を右向きに動かすと、粘性によって力が働きます。板には動きを妨げる向きに力が働くため、左向きの力が作用します。一方、板の下の流体は板に引きずられるため、右向きの力が作用します。このように面に平行な方向の力のことを せん断力 といい、単位は N です。また、単位面積あたりに作用する力のことを 応力 といい、単位は Pa です。そのため、単位面積あたりのせん断力のことを せん断応力 といいます。特に流体の粘性によって生じるせん断応力のことを 粘性応力 と呼ぶ場合もあります。

 多くの流体では板に作用するせん断応力は流体の 速度勾配 に比例し、この比例係数が 粘性係数 にあたります。これらの関係をまとめると以下の式のようになります。

 この関係を ニュートンの粘性法則 といい、この法則に従う流体のことを ニュートン流体 といいます。空気や水などはニュートン流体の一種です。

 もっと知りたい   非ニュートン流体
 ニュートンの粘性法則に従わない流体を 非ニュートン流体 といいます。非ニュートン流体はその特性に応じて、さらに ビンガム流体 擬塑性流体 ダイラタント流体 に分類されます。それぞれの流体における速度勾配とせん断応力の関係を図3.18に示します。

各種流体における速度勾配とせん断応力の関係
図3.18 各種流体における速度勾配とせん断応力の関係

 ビンガム流体は静止した状態でもせん断応力が作用する流体です。そのため、せん断応力がある一定の大きさに達するまでは流れず、それ以上の大きさのせん断応力が加わると流れだすという性質があります。ビンガム流体が流れ出すせん断応力のことを ビンガム降伏値 といいます。身近な例では、歯みがき粉やバターなどがビンガム流体にあたります。

 擬塑性流体は、速度勾配が大きくなるにつれて粘性係数が小さくなり、流れやすくなる性質を持っている流体です。身近な例では、マヨネーズやケチャップが擬塑性流体にあたります。この性質によって、チューブ容器に入った調味料は力を加えると簡単に取り出すことができます。

 ダイラタント流体は擬塑性流体の逆で、速度勾配が大きくなるにつれて粘性係数が大きくなり、流れにくくなる流体です。水と片栗粉をおよそ 1:1で混ぜ合わせた水溶き片栗粉はダイラタント流体にあたり、すばやくかき混ぜると硬くなります。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座 」がある。

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