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技術情報・コラム

流体解析の基礎講座 第6回

第3章 流れの基礎(3)

 

3.2 流れの性質

 ここでは、 流れ の代表的な性質をご紹介します。流れの性質が異なると、解析における流れの取り扱いが変わる場合があります。また、得られた結果が妥当かどうかを判断する上でも非常に重要となりますので、解析対象の流れはいずれに当てはまるのかということも考えながら読んでみてください。

3.2.1 圧縮性と非圧縮性

  流体 は圧縮・膨張する性質を持っていますが、この影響を無視できない流体のことを 圧縮性流体 と呼びます。図3.10のようにシリンダーに入った圧縮性流体を考えた場合、ピストンが移動すると、それに合わせて流体の体積が変化します。ただし、系全体の質量は変化しません。そのため、体積が変化した分だけ流体の 密度 が変化することになります。


図3.10 圧縮性流体

 一方、圧縮や膨張の影響を無視できる流体のことを 非圧縮性流体 と呼びます。非圧縮性流体では流体の体積は変化せず、密度は常に一定であるとして扱われます。図3.11のようにシリンダーに入った非圧縮性流体を考えた場合、流体そのものの体積は変化しないため、ピストンが下がって系の体積が減少した場合にはその分だけ流体が流出し、逆にピストンが上がって系の体積が増加した場合にはその分だけ流体が流入しなければいけません。厳密な意味での非圧縮性流体は存在しませんが、 圧力 温度 による密度変化が小さい場合には非圧縮性流体として近似することによって、その取扱いを大きく簡略化することができます。


図3.11 非圧縮性流体

 圧縮性の影響の大小は マッハ数 M 流速 音速 の比)によって整理することができ、
M < 約0.3の場合に非圧縮性として扱うことができます。例えば、20 ℃ の空気中では音速は約 340 m/s になるため、空気では流速が約 100 m/s 以上の場合に圧縮性を考慮したほうがよいことがわかります。
 また、大きな温度変化を生じる場合にも、体積の膨張や圧縮によって密度が大きく変化するため、圧縮性流体として扱われることがあります。なお、水などの液体は圧力などによる密度変化が極めて小さいため、常に非圧縮性流体として扱われます。

 次回は、「第3章 流れの基礎(4)」についてご説明したいと思います。

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上山 篤史
著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)
学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。

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