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解析事例・インタビュー

芝浦工業大学 様
学生フォーミュラで総合2位を獲得!
オンリーワン車両による芝浦工大の挑戦

写真1 2017年度のマシン「S014」。
コンセプトは「The Goblin」で、名前の通り小型で
素早い、異色の車両を狙った

[後編] 芝浦工業大学のフォーミュラレーシングチームは、2017年の学生フォーミュラ大会においてチーム史上最高となる総合2位を獲得した。同チームは今まで培ってきた基本性能の追求の成果をベースにしながら大胆な設計変更を行うことで、飛躍的に速いクルマを作り上げた。メンバーに今回の車両コンセプトが生まれた背景や開発の様子、そして開発において役立ったという流体解析ツール「SCRYU/Tetra」の活用例について聞いた。

流体解析でサージタンクの特性を予測

 運動性能の向上などでは、ソフトウェアクレイドルの流体解析ツール「SCRYU/Tetra」が役に立ったという。SHIBA-4は結成されてからほどなくして、SCRYU/Tetraを設計で活用するようになった。主に吸気系の検証のためにまず導入したようだという。現在は長年の経験の蓄積により、定常解析については、チーム内における相対比較において、納得できる解析値が得られるようになっているそうだ。

図2 吸気系の解析結果。リストリクタからサージタンク、インテークマニホールドにおける流れの様子
(※クリックで拡大)

図3 S013(2016年度車両)、S014(2017年度車両)およびS014の試験片の段階におけるそれぞれのトルクと馬力のシャシダイナモにおける実測値。S013では回転数を上げるにしたがってトルクと馬力に変動が生じているが、S014では変動が消えて理想的かつ狙い通りの応答性を得た。(※クリックで拡大)

 S014車両のSCRYU/Tetraの使用は、サージタンクの形状の検討からスタートしたという。基本的な形状がまずあったものの、設計者が吸気系の設計が参考書の通りにはならないのではと疑い始めたため、確認のために解析を始めた。その結果、形状を一から設計することになったという(図2)。

 

 最初は単純な箱形状で解析を行ったところ、吸気の流れに圧力変動が生じることがわかった。実験でもそのような変動が発生すると考えられたため、変動をなくす条件をSCRYU/Tetraで検討した。また解析をベースに、サージタンクの容量を増やすなどの検討も行ったという。

 

 解析による検討をもとに設計を行い、シャシダイナモでの実験において、リストリクタの配置や向きなども検討して吸気系の検討を行った。図3はS013(2016年度車両)、S014(2017年度車両)およびS014の試験片の段階における、それぞれのトルクと馬力のシャシダイナモによる実測値だ。S013では回転数を上げるにしたがってトルクと馬力に変動が生じている。



 解析による検証の結果、2017年度の試験片およびS014では、変動が消えて理想的な応答性を得た。ただしS014は試験片より最大パワーが落ちている。この理由は慣性効果か圧力損失のためかは分かっていない。インテークマニホールドの管長やサージタンクの容量は様々に変えて検討したが、サージタンクの形状は詰められていないので、その辺りに原因があるかもしれないという。

 

 解析およびシャシダイナモでの実験の結果、これらの間にはかなりの相関があることが確認できた。なおSCRYU/Tetraの操作については、一度慣れれば容易に使え、計算速度についても問題なく十分な回数の計算を行えたそうだ。

写真3 芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科 1年
管 龍彦 氏 (取材当日の写真)

次年度はさらに完成度を高める

 現在、2018年度の大会に向けた活動がすでにスタートしている。今回のコンセプトは、The Goblinの頭文字を取った「G」だという。「The Goblinのコンセプトを引き継ぎ、短所をなくして長所を極限まで引き出すつもりです。静的審査の伸びしろもあり、まだまだ(ポイント獲得は)見込めると考えています」と芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム科1年でウィング担当の管龍彦氏(写真3)は話す。

 

 新たな車両ではエアロデバイスを中心に改良を行う予定だそうだ。昨年はスケジュールが遅れた反省から、進捗をよりしっかり管理するとともに、S014の時に発生したチェーン破損や、エンデュランス走行中のシフターの故障、水温上昇などのトラブルを確実になくしていきたいという。

 

 流体解析については、2017年度はリストリクタの長さの検討を2パターンしか行っていなかった。そのため、より多くのパターンを解析したいという。吸気系については内部にセンサーを配置して実測するといったことはまだ行っていない。この点は改善の余地があり、それにより解析精度を高めることも見込めそうだ。

 

 また旋回解析も行ってみたいとのことだ。車両には姿勢変化をさせてもウィング自体の姿勢を保つバネ下マウントウイングは付けていない。これも軽量化を追求したためだ。前回のウィングの翼端板は、車両を斜めにすることで、風を斜めから当てた状態として検証した。やはり旋回時のロール、ピッチが変化している状態における空力性能の最適化は行いたいという。

 

 目下の悩みとしては、実際の速度で走れる走行場所が容易に確保できないことだそうだ。大学構内では時速40キロメートルがやっとだが、実際は90キロメートル程度になる。シミュレーションだけでなく実際の走行も行いたいという。

 

 様々な課題を解決しながら前に進んできたSHIBA-4は、2017年に見事に総合2位という結果を得た。来年度もSCRYU/Tetraを活用しながらより車両を洗練させ、最高の戦いを見せてくれるはずだ。

※SCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2017年12月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。​

プロフィール

 

芝浦工業大学
創立 1927年
大学設置 1949年
学校種別 私立
本部所在地 東京都港区芝浦
URL http://www.shibaura-it.ac.jp/

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