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解析事例・インタビュー

東京工科大学
シミュレーションと実験を両立させる教育で、
電力ロスゼロのサステイナブル社会を目指す

写真1 東京工科大学 工学部
電気電子工学科 教授 エネルギー応用研究室
工学博士 博士(理学)技術士(電気電子)
高木茂行 氏

[後編] サステイナブル工学を特色とする東京工科大学のエネルギー応用研究室では、パワーエレクトロニクスをキーワードとした、効率のよいエネルギー利用の研究を行っている。研究室の高木茂行教授が重要だと考えるのは、シミュレーションと実験をバランスよく使いこなすことができる人材の育成だ。

サステイナブルな社会の構築に貢献する

 実は東京工科大学の工学部は、サステイナブル(持続可能性)に軸足を置いた研究・教育を行っている。そのため工学部では1年次からサステイナブルに関する知識や考え方を身に付けられるようなカリキュラムが組まれている。環境影響の評価には不可欠な、ライフサイクルアセスメント(LCA)の評価手法を身に付けるとともに、LCA手法を用いて身近な製品を評価して、改善点を話し合うといったグループ演習などを行う。一方で各学科でも専門的な勉強を進めていくという。

写真4 東京工科大学で稼働する2000kW規模
(700kW × 3台)のコージェネ装置

 また大学にはコージェネレーション(コージェネ)設備が稼働している。コージェネとは熱エネルギーを2つ以上の形態のエネルギー源に変換するエネルギーの利用形態である。大学のコージェネ設備は3つの発電機からなり、2000キロワット規模の電力供給が可能だ(写真4)。通常、発電所から供給される電力はそのまま各電気製品に使用される。だがコージェネでは、はじめに熱湯をつくり、それを冷暖房に用いる。暖房に使用されたお湯は温度が下がるものの、高温を保っている。この温水を使ってさらに発電を行う。この設備では一般的な電気の利用方法に対して約20%の省エネが可能だという。

 

 ただしこの設備でも、すべての熱が発電に利用されるわけではない。高木氏の取り組む熱電素子発電や効率的な電力変換は、コージェネ設備で発生する排熱の有効利用、そして設備の更なるエネルギー向上も想定したものだ。「排熱発電装置をコージェネに取り付けることによって、100ワットから1キロワット規模の発電を目指したいと考えています」(高木氏)。

バランスのよい技術者を育てたい

 高木氏は「メーカーにいたときから基本的に、実験だけまたはシミュレーションだけではよい製品は作れないというのが私の考えです」と話す。そのため、学生にはSTREAMを活用しながら、シミュレーションと実験の両方をバランスよく使えるようになってほしいという。高木氏自身が大学を卒業後、東芝に入社して研究開発を始めた当時は、シミュレーションソフトウェアはそれほど販売されておらず、それを動かすコンピュータも非常に高価だった。そのため、はじめは実験が中心で、シミュレーションに携わり始めたのは、10年ほど後にシミュレーションツールやソフトウェアが導入されてからだった。その経験から、解析がメインの人は解析だけに終始せず、製造などの現場に行き、装置改善にまで積極的にかかわることが必要だと感じたという。

 

 「学生には解析に加えてモデリングや最適化の手法まで使えるようになってほしいと思っています。また熱電装置の最適化を行った際には実験にも取り組んで結果の比較をし、回路シミュレーションに取り組んでいる学生には実際の回路作成まで体験させたいですね。現場で役立つような教育を実践したいと思っています」(高木氏)。

 

表示のクオリティと化学反応が決め手

 高木氏はSTREAMを選択した理由について、結果表示が洗練されていること、コストパフォーマンスがよいこと、また化学反応を扱えることを挙げる。表示は今まで企業で見てきたツールと比較しても特にきれいだと感じたそうだ。また勤めていた企業内ではSTREAMの導入も進められており、身近に見る機会があった。STREAMには様々な機能が用意されている一方で、価格もリーズナブルで、大学での導入にはSTREAMが適切だと考えたという。

 

 また、STREAMには扱いやすい化学反応の解析機能が用意されていることもポイントだった。高木氏は東芝で半導体素子製造に携わっていた。半導体素子を作る際には、材料の表面にガスを流して、材料とガスの化学反応を起こさせる。当時使用していた化学反応のソフトウェアは、式の入力が非常に複雑で、流体解析のソフトウェアとの連携がうまくいっていないこともあり、自由に反応を設定することが難しかったそうだ。STREAMには化学反応の速度を予測するアレニウスの式があらかじめ用意されているため、入力が非常に容易だという。

 

 こういった理由から、高木氏は試行期間を経て正式にSTREAMを採用した。セミナーや電話サポートも利用しているという。「学生とソフトウェアクレイドルの開催する基礎セミナーを受けに行きましたが、学生は流体についてはかなり理解したようです」(高木氏)。

 

 STREAMへの要望としては、操作面において境界条件を入れる作業が多いため、工夫をして短くなるとより使いやすくなりそうとのことだ。また化学反応について、需要の多いガスの反応についてはあらかじめ提供するとよいのではないかという。たとえば半導体製造における表面反応でもっとも単純な、シラン(SiH4)ガスが分解されて、シリコンが半導体基板上に膜を形成する過程は、4つ程度の化学式で表現され、頻繁に使われる反応になる。こういった化学反応に関する機能拡張も期待しているとのことだ。

 

回路シミュレーションとの連携も行いたい

 今後のSTREAMの活用について、高木氏は「素子内部のシミュレーションも進めていきたいですね」と話す。さらに取り組みたいと考えているのが、回路シミュレーションツールとの連携だそうだ。STREAMでの解析結果から熱抵抗を抽出して回路シミュレーションに渡し、発熱を計算することにより、半導体の温度上昇を最も抑えられる条件を検討していきたいとする。

 

 また高木氏は、電気自動車の回生や充電にもSTREAMを活用したいという。「現在の回生技術は、速度がゆっくりの状態でブレーキを掛ける場合は回生効率がかなり高いですが、速いスピードからの回生ではそれほど効率がよいわけではありません。この変換効率をもっと上げられるように研究を進めていきたいですね」(高木氏)。研究室では、STREAMを活用して身近にあふれるエネルギーの効率を上げる研究に次々と取り組んでいる。サステイナブルな社会の実現に向けた研究の今後に期待したい。

※STREAMは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2017年6月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。​

プロフィール

 




 

東京工科大学 工学部 エネルギー応用研究室
創立 1947年
大学設置 1986年
設置者 学校法人片柳学園
学校種別 私立
所在地 東京都八王子市
URL http://www.teu.ac.jp/

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