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解析事例・インタビュー

ムーンクラフト株式会社
CFDでより速く
――レーシングカーメーカーの新たな挑戦

[後編] ムーンクラフトは、空力設計で定評のあるレーシングカーメーカーだ。同社は30年以上前に風洞を導入し、空力設計に注力してきた。今、取り組みを進めているのが、SCRYU/Tetraの導入による車体外部/内部流れの解析だ。CFDを駆使して、より数値に裏付けられた速さをめざそうとしている。

ブログの読者も見てくれている

 これらの例を見ても分かるように、「フロア下の圧力分布や温度など、実験では困難な検証をCFDの力で行うことができます。表面上の全面的な可視化も非常にわかりやすく重宝しています。風洞実験によって決めたインテークなどの場所がきちんと高圧だったりと、合理的な判断だったことも確認できました」と阪口氏は話す。また「このような解析結果の図をブログに載せると、読者の皆さんも見てくれているようです。ムーンクラフトは実験が主体だと思われていますが、CFDの取り組みを積極的に紹介していくことで、より空力のムーンクラフトをアピールできると思っています」(阪口氏)。

 同社では風洞設備のレンタルも行っているが、「風洞をレンタルする人は基本的にCFDを先に行っており、その実証のために風洞を使いに来ます。そのため我々もCFDについて十分に知っておく必要があると感じていました」(阪口氏)。今までは人的な問題もあり、なかなか手を付けることができなかったが、ここにきて活用が進んできたという。
 

作業手順のわかりやすさ

 解析環境としては、専用パソコンを1台用意している。以前は車体1台を解析するのに4日ほど掛かっていたが、サポートからアドバイスを受け、細かすぎるメッシュなどを改善したところ、現在は14時間程度になったそうだ。

 SCRYU/Tetraの使用感については、「とにかく使いやすい」と神瀬氏はいう。神瀬氏は学生時に熱流体解析を行っていたこともあり、新たにSCRYU/Tetraを習得するまでにあまり時間は要しなかった。また「ポストモジュールの可視化手段もバラエティに富んでいて、見た目もすごく綺麗に表示できます。見ていておもしろいですね」(神瀬氏)。

 「とくにPrimeモードを使うと、初心者の自分でも順番に進めていけばモデルをインポートしたり修正したりといったことができるので、かなり簡単に操作することができました」と神瀬氏は話す。

 とくにカーボン製品は、CADモデルにおいてソリッドではなくサーフェスデータであることが多い。データが閉じておらずそのままでは扱いにくいので、ラッピング機能はとても助かったという。要望としては、ヘルプメニューがSCRYU/TetraではPDF形式のため、ソフトウェアクレイドルのポリヘドラルメッシュを採用した新しい熱流体解析ツール「scFLOW」のようにHTMLであれば、検索などもしやすく助かるとのことだ。
 

複雑な吸気チャンバーの圧縮性流体を解析したい

 さらに同社が取り組んでいる解析が、吸気ダクト系の形状検討だ(図3)。自然吸気エンジンの場合、吸気流路における圧力損失を低減することが重要になる。GTカーレースにおいては車両レギュレーションで吸気リストリクターの装着が義務付けられる。効率よく空気を取り込む空気ボックスの形状を検討することが必要だ。「実際は大量に空気を吸うのでリストリクター付近は音速近くになります。そのため圧縮性流体としての性質を考慮しなければいけません」(阪口氏)。

図3 エンジンの吸気リストリクター内の解析
※クリックで拡大

 図3ではリストリクターからディフューザー、インテークマニホールドへ流入するまでの内部流を観察することができる。空気の密度変化や圧力値を評価することができ、形状の最適化を行う事ができた。

 今後については「吸気ボックスの非定常圧縮計算を、エンジンの点火順序を考慮してさらに進めたいですね。実際は、脈動なども効いてきます。この辺りを解析していきたいです」(神瀬氏)とのことだ。

 またVBインターフェースにも興味があるという。「車高やウィングの角度などをプログラミングで変えていくことができれば、解析が効率的になるのではないかと思っています」(神瀬氏)。

 阪口氏は「風洞実験とCFDを両立させ、両者のよいところを生かしていきたいと考えています。CFDの結果を確認するために風洞実験を行うといった形の検証も進めていきたいですね」と今後の方針を語ってくれた。空力のムーンクラフトはSCRYU/Tetraによってより進化した走りを見せてくれるだろう。今後の活躍を楽しみにしたい。

※SCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2017年4月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。​

プロフィール



 

ムーンクラフト株式会社
創立 1975年
事業内容 • レーシングカーのデザイン、開発設計、製作
• 風洞実験による空力実験・開発
• 風洞実験施設のレンタル など
代表者 代表取締役 由良拓也
所在地 静岡県御殿場市

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