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解析事例・インタビュー

キャプティブエアー・システムズ 様
厨房の排気フードシステムにおける湿度
排出の効率性評価にCFDを活用

写真1 キャプティブエアー・システムズ 副社長兼技術部長 ビル・グリフィン氏

  キャプティブエアーは、業務用厨房の換気設備分野で北米最大手を誇る企業だ。1976年の設立以来、排気フード、ファン、グリースフィルター、消化システム、設備配管システムなどの製品・サービスを提供し続けている。顧客は飲食店のナショナルチェーン、個人経営店、行政・民間の機関や団体など幅広い。キャプティブエアーでは、排気フードと給気口の気流や室温、湿度を評価する際に、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)を活用している。研究開発チームでは、厨房作業での効率アップと快適性向上を目指し、革新的なサービス開発に取り組んでいる。排気フードシステムと給気口関連の開発に携わる技術者は、主な開発業務に加え、製造プラントでのサポートや厨房設備の構成、新しいフードシステムや給気口の開発、既存システムの改良にも携わっているという。開発内容について話を聞かせていただいた。

写真2 排気フードシステムの一例

湿気移動の解析にCFDを活用

 厨房の排気フードシステム(写真2)の開発では、調理中に排出される熱や水の処理方法を検討している。グリルやオーブンから発せられる蒸気を抑えること、フード表面の結露を減らすこと、調理スペースを清潔に保つことなど、複数の条件を考慮する。また、調理する側の快適性も考慮し、新鮮な空気が保たれるよう厨房内の室温と湿度が制御できる設計にする必要がある。

 

 キャプティブエアーがCFDに関心を持ったのは、気流のシミュレーションや空気移動の定性的データ取得に利用できると知ってからだ。過去に開発した排気フードや給気口の設計で流体解析用いたこともある。今回再度CFDを用いることで新しい設計の湿度排出効果を評価してみたかったそうだ。計算が正確であることはもちろん、結果を明確で分かりやすいビジュアルに落とし込める信頼性の高いソフトウェアを探していたところ、STREAM®がそれらの条件を満たしていたのだという。

 

 排気フードシステム内は、排出される空気、予熱された補給空気(MUA: Make-Up Air)、空調風(AC: Air-Conditioned Air)の三種類の気流が流れる構造になっている。調理スペース内の熱せられた空気と廃気、油の粒子が排気フードによって取り除かれ、室内の空気を清浄にすることができる。フード前に取り付けられたMUAプレナムを介して、わずかに予熱された外気が厨房スペースに流れ込む仕組みだ。また、調理スタッフの快適性を確保する目的で、MUA気流の前方向に位置する形でACが供給される。これによってエアカーテンが生成され、廃気を処理できるほか、厨房外への拡散を防ぐことができる。

 

 今回キャプティブエアーが流体解析を行った目的は、異なる状況下においての厨房スペースへの影響を検証し、排気フードシステムの仕様を最適化することである。MUAとACの流量の変化、温度、相対湿度を検証するため、12ケースの解析を行った。給排気を効率的に行いつつ、解析対象以外の空間への影響が最小限になる設計パターンを求めて解析を進めたという。

STREAM®で排気フードシステムの構造理解を促進

図1 左図:排気口から拡散する水分の割合の計算結果
右図:厨房内における空気移動解析結果
(ケース6の流速コンターを表示)
※クリックで拡大

 

図2 ACあり(左図)・なし(右図)での相対湿度コンターの比較
※クリックで拡大

 MUAを介してわずかに予熱された外気を流れ込ませるフードシステムは、湿気も厨房内に取り込んでしまうため、十分な排気が必要となる。そのため今回の解析では、MUAとACからの湿気のうち、排気口から流出する割合をCFDで計算した。STREAM®の結果により、排気フードシステムでMUA内の湿気の大半を換気できることが確認できた。流速の可視化結果を詳細に見ると、エアカーテンが形成されている様子が分かる(図1)。この結果から、調理廃気がシステムによって捕集されていることが推測できた。また、湿度の解析結果から、システムに流入・発生した湿気の90%以上が排出できていることが分かった。

 

 CFDの結果により、厨房内のACには快適性の向上以外の付随効果があることも確認できた。ACあり・なしの条件で解析を行った結果、使われていないMUAが厨房内に流れ込むのを阻止する役割を果たしていることが分かった。コンター図から、ACありの方が温度と湿度が効果的に制御されていることが確認できた(図2)。

 

 加えて、STREAM®の解析によって、ACの流量(FPM: Feet Per Minute)が小さい方が最適であることが分かったという。流量が大きくなると空気が厨房内に拡散するのを助長してしまう。解析結果により、ACの流量設定値を小さく抑えることで、排気フードシステムのエネルギー利用の低減と騒音カットを実現できることが分かった。

 

 キャプティブエアーでは、STREAM®を用いることによって排気フードシステムの理解を深めることができたという。「給気口からの湿気の移動や、それが我々特製のMUA給気口の性能に及ぼす影響についてのデータはこれまでありませんでした」とキャプティブエアーの技術チームは語る。STREAM®によって得ることができた結果は、排気フードシステムの設計と検証、そして更なる改善に向けた知見の獲得に生かされているという。

今後の展望とHVACにおけるCFDの効果について

 排気フードシステム内の流れ、温度、湿度といった気流の挙動を手早く調べる際には、2Dによるシミュレーションが用いられている。今後は厨房の3Dシミュレーションを行い、MUAの分布を最適化したいと、技術チームは語る。目指すのは、内部の静圧を最小に抑え、一様な層流にさせる給気口の設計だ。また、人体モデルの活用や、実際に調理するなどさまざまな実験を行うことで、フードによる換気効果を評価したいそうだ。

 

 STREAM®の性能については、キャプティブエアーが必要とする条件をすべて満たしていたという。計算も正確で、解析結果を効果的に可視化する強力なポストプロセッサによって定量的なデータを見やすいビジュアルで確認することができ、システムの理解を更に深めることができたそうだ。今回の試みでは、空調設定の最適化と排気システムによって、MUA内の湿気が効果的に捕集されていることが確認でき、キャプティブエアーの技術チームは満足だという。技術サポートの面については、「クレイドルの技術スタッフにはこのプロジェクトを通して十分にサポートしていただきました。質問があった際や、設計条件の変更が必要な場面では、要望に合わせてすぐ対応していただけて、ありがたかったです。今回のプロジェクトについても十分な成果を得ることができました」と語る。

 

 キャプティブ・エアーは、HVAC の分野におけるCFD の大きな将来性を感じている。「何らかの気体の流れを取り扱う事業において、CFD がもたらす効果は大きいと思います。気体の流れを確認する、気流中の粒子の移動を把握するといった場面ではもちろん、システムの最適化や製品の検証でも、CFD を用いることで定性的な理解とその後ろ盾となる定量的なデータが得られるはずです」と語る。

※STREAMは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2017年3月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

プロフィール




 

キャプティブエアー・システムズ
設立 1976年
事業内容 業務用厨房の換気設備の設計
代表者 ロバート・ラディー(社長)
所在地 ローリー、ノースカロライナ州、アメリカ
従業員数 1,000名以上(2016年3月31日現在)
URL https://www.captiveaire.com/

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