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解析事例・インタビュー

水谷電機工業株式会社 様
最適形状設計にSTREAM®を活用し、
LED照明用高性能ヒートシンクを開発

写真1 水谷電機工業株式会社 技術センター係長 渡邉陽介 氏

[前編] 高度化するLED照明の放熱対策。高光束化による発熱密度の増大が顕在化しており、放熱設計は重要なファクターとなっている。LED照明の市場規模が年々拡大している中で、LED社会に貢献すべく水谷電機工業では、ヒートシンクの小型・軽量・高性能化を目指しSTREAM®を活用し最適形状を導いた。その開発背景にスポットライトをあて、LED照明用ヒートシンクの開発者である 水谷電機工業株式会社 技術センター係長 渡邉陽介氏(写真1)に話を伺った。

 水谷電機工業は1967年に日本国内初のヒートシンクの専業メーカとして製造・販売を開始して以来、まもなく50周年を迎えようとしている。これまでに蓄積してきた技術データを基軸に、民生、産業機器をはじめ、あらゆる分野に展開しており、その対応能力の高さにおいても、顧客からの信頼は厚い。1996年にはミズデンマレーシアを設立し、海外の需要にも幅広く対応している。熱流体解析をはじめ、各種解析は日本の開発技術グループが行っているという。

写真2 水谷電機工業のヒートシンク製品

 ヒートシンクは電子機器や製造装置に用いられる半導体の熱を大気中へ逃がし、機器を過熱による故障から守る重要な部品である(写真2)。近年、高密度実装、高性能化に伴い、電子機器の発熱密度は著しく増大しており、ヒートシンクにはこれまで以上に高度な性能が求められている。ヒートシンクの種類は押出、鍛造、かしめ、接着方式、はんだ接合方式など様々なカテゴリーに区分され、高い発熱密度に対処するためにヒートパイプを複合させるなどの方法がとられることもある。ヒートパイプとは、銅の数百倍以上の等価熱伝導率を有する熱の超良導体であり、古くから実績がある。ヒートパイプによって機器の均熱化や熱抵抗の低減が成され、半導体の信頼性を高めることが可能となる。同社ではウィック式、自励振動式ヒートパイプ(ヒートレーン®)を扱っている。機器の熱設計において、空冷方式では”自然空冷”や冷却FANを用いる”強制空冷”があり、使用する半導体のジャンクション温度を基準にして、冷却方式やヒートシンクに求められる熱特性が決定される。

 

 機器は構造が複雑であり、温度予測は非常に困難である。また、設計期間も限られていることから、熱設計も迅速に対応しなければならない。そこで、熱流体解析ソフトウェアを用いることが、短期間での設計開発実現の為には必要不可欠となる。

 

 そこで同社では数年前にSTREAMを導入し、これまでに様々な機器の熱流体解析を行ってきた。医療機器や産業機器における伝熱経路は非常に複雑であり、単熱モデルへの変換が重要であったという。また未知なる物性を扱う際は、いくつかのパラメータを用いて、熱流体解析と実測の相関を確認しつつ、モデルの作りこみをおこなってきたそうだ。

写真3 ヒートフレキション

LED照明のニーズに応えたヒートシンク開発

 LED照明は 、家庭・オフィス用ダウンライト、街路灯、工場・施設内の高天井、競技場内の投光器など、身の回りの至る所に使用され、生活に欠かすことができない存在となっている。なかでも高輝度を必要とし ハイパワーとなる高天井や投光器等の用途では、輝度の向上とともに発生する発熱量が増大し、“放熱対策”が重要な課題となっているという。なぜなら、LED自身が発する熱を速やかに大気へ放熱しなければ、ジャンクション部の破壊や、焼損に至るためである。放熱の方法はいくつかあるが、機器の信頼性や経済性を考慮し、自然空冷が採用されることが多い。ここで、自然空冷用のヒートシンクを設計するに際しては、ヒートシンク姿勢による熱抵抗の変化を考慮する必要がある。LED照明は照射方向を用途に応じて適宜変化させるため、照射方向によってヒートシンク姿勢が定まり、従来用いられてきたヒートシンクでは姿勢差による熱抵抗の差異が約23%生じることがあった(同社製品より)。姿勢による温度差が大きくなるほど、LEDは熱歪の発生により、信頼性に影響を及ぼすこととなる。このように、ヒートシンク熱抵抗はLEDの信頼性を維持するために非常に重要な役割を担うのだ。同社はこの姿勢差を極力低減させることに着目し、照射方向変動によるヒートシンク姿勢差が小さいヒートシンクとして、HEATFLEXION(ヒートフレキション)<実用新案登録済み>」を開発した(写真3)。

​ヒートフレキション®とは

 ヒートフレキションはフィンを屈曲させ、自然対流を高めるための構造を有している。

 フィン内部に於ける空気の流動をフレキシブルにすることで、ヒートシンク姿勢の変動による姿勢差が極めて小さくなることが最大の特長である。このように屈曲したフィンを用いて熱流体のフレキシブル性を高め、設置角度を変動させても放熱性を維持できることから、ヒートフレキションと名付けたそうだ。

 

 自然空冷はヒートシンクのベース部が熱源より熱を受けフィン部へと伝熱し、さらに周囲空気が加熱されることで空気密度が変化し、誘発的に自然対流を発生させるものである。このため、周囲流体を取り扱う際には 運動方程式とエネルギー方程式を同時に考慮する必要がある。密度はBoussinesq近似し、温度についてはエネルギー収支式を加え、下記の支配方程式を得る(図1)。

図1 支配方程式
※クリックで拡大

図2 従来形状とヒートフレキション形状での温度比較
※クリックで拡大

 理論解を近似的に求める過程においては、あるモデルを決定の上、フィン表面積やフィン傾斜を定めることとし、フィン形状と熱伝達係数の相関を検証した。さらに次のフェーズではSTREAMによる熱流体解析を行い、フィン厚さやフィン枚数を最適化し、従来形状とヒートフレキション形状での姿勢による熱抵抗の差異を確認した(図2)。日射の影響や強風発生時などの様々な状況についても事前に検証することができた。
 

※STREAMは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2016年3月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

プロフィール


 

水谷電機工業株式会社
設立 1967年
事業内容 半導体の放熱器製造販売
代表者 代表取締役 水谷 和夫
本社 東京都千代田区
従業員数 80名(2009年3月31日現在)
資本金 9,000万円
URL http://www.mizuden.co.jp/

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