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解析事例・インタビュー

株式会社ミサワホーム総合研究所 様
風や日光を取り入れる先人の知恵を
現在のテクノロジーと融合し適用する
「微気候デザイン」の実現をサポート

 

写真1 株式会社ミサワホーム総合研究所
環境エネルギーセンター
環境創造研究室 主任研究員
博士(工学)平山由佳理 氏

[後編] 住宅の建つ街区の中での風の流れをシミュレーションし、気温の変化を予測する。日照や通風などの自然条件を取り入れたいわゆる環境設計は、これまでは設計者の感覚的な判断によるところが大きかったが、気候風土に合わせた「微気候デザイン」を行うミサワホームでは、高機能の性能が確保された住宅に、熱流体解析を行うコンピュータシミュレーションを組み合わせることで、快適な暮らしをもたらす精度が高い設計が行われている。住宅業界でいち早く自然条件のシミュレーションを始めたミサワホーム総合研究所の平山由佳理氏(写真1)は、シミュレーションを用いることで人に優しい住宅と街の未来を描いている。

図1 クールルーバーの特徴 
※クリックで拡大

写真3 クールルーバーを設置した住宅
 

写真4 クールルーバー

 放射温度を下げる取り組みとして特筆すべきは、新たに部材から自社開発した「クールルーバー」の大々的な採用だ(図1)。「地面への打ち水は足元の温度を下げますが、人が熱を感じるのは顔付近です。クールルーバーをテラス周りのエクステリアに取り入れることで、気温より最大5 ~ 6℃もマイナスとなる冷たい面を顔の高さまで持ってくることができます」と効果を平山氏は説明する(写真3、4)。

  クールルーバーは、羽板状の部材に上の段からゆっくりと水を落として表面全体に回し込むもの。水の蒸発冷却で表面の温度を下げ、冷えたルーバー面の間を風が流れることで涼風がつくりだされる。素材や形状について何度も試行錯誤を行い、芯材の素材は加工性がよくサイズ対応が容易なアルミ製に決定。光触媒を用いた多孔質の塗料を用いることで、表面の水の広がりが大幅に増加した。使用する水は、1時間に1 ~ 2リットル程度。朝と夕方のそれぞれ2時間程度通水する。

 クールルーバーの効果の検証では、STREAM®で住宅周辺の気温・風向風速分布をシミュレーションし(図2)、ThermoRenderで表面温度分布をシミュレーションした(図3)。「ルーバーのシミュレーションでは細かいメッシュで解くと手間と時間がかかるので、『多孔質体』として設定しました。ボックスの中に固体部と流体部が混在している設定としています。さらに固体の物性値と空隙率を入力し、さまざまな風速で個別に計算したうえで関数化した抵抗値を与えています」と平山氏。クールルーバーの周りで冷えて拡散していく様子などが、画像でわかりやすく確認できる。表面形状と表面温度を的確に捉えるため、ハイブリッドメッシュを採用した熱流体シミュレーションソフトウェアSCRYU/Tetra®も併用し、STREAM®に落とし込んだ。クールルーバーについて「ほぼ狙い通りの効果がありました」と平山氏は胸を張る。

図2 気温・風向風速分布によるクールルーバーの設計検討
※クリックで拡大

 図3 表面温度分布によるクールルーバーの設計検討
 ※クリックで拡大

コミュニケーションツールとしてのシミューレーションソフト

 STREAM®などのソフトは、目には見えない熱を「見える化」するため、コミュニケーションでの効果も高いと平山氏は言う。「ThermoRenderで熱収支計算を行うことで算出される表面温度をSTREAM®に持ち込むと、植栽やクールルーバーの付近では気温が下がっていく様子や、熱がどこで溜まるのかをビジュアルに見ることができます。社内の設計部との連携も、しやすくなるのです」。開発段階では、テラスの周りに設置すると冬の日光を遮り寒くならないか、どの程度まで窓に近づけるのが適切かを設計部とやりとりしたという。シミュレーション結果と効果をSTREAM®で見せることで、同じ目的に向けて会話がスムーズに進み、懸念事項の解消へとつながった。「設計者にも住宅単体の設計が街区全体での効果に広がることを実感してもらい、設計者のデザインセンスの中でクールルーバーを住戸計画に綺麗に納めてもらうことができました」と平山氏。

 ビジュアルでの伝達手段のほか、平山氏はSTREAM®などのシミュレーションソフトの利点を、次のように語る。「温熱環境の実測では実測時に複数の条件要素が同時に変動してしまいますが、シミュレーションでは条件を自分でさまざまに変えて試すことで、メインファクターが見えてきます。そうしてピンポイントで対策を打ちやすくなる。自分のポテンシャルを上げさせてもらっていると感じます」。

※STREAM、およびSCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2015年9月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

プロフィール



 

株式会社ミサワホーム総合研究所
設立 1973年
事業内容 住まいとくらしに関する総合的調査、研究の受託、システムの開発受託ほか
本社 東京都杉並区
代表者 代表取締役社長 佐藤春夫
URL http://soken.misawa.co.jp/

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